日々の暮らしに知っておきたい「脳卒中」について


脳卒中という病名の由来は、脳が急に(卒然と)悪い風に当たる(中る)とおこる病気とだと考えられていたからです。しかし実際は、「脳の血管が破れたり、詰まったりして起こる病気」です。血管が破れるタイプは頭蓋内出血と呼ばれ、脳内出血と、くも膜下出血があります。また血管が詰まるタイプが脳梗塞であり、原因によってラクナ梗塞、アテローム血栓性梗塞、心原性脳塞栓症に分けられます。脳は一度障害を受けると重篤な後遺症を残すので、日常生活に大きく支障をきたします。そのため、脳卒中の予防に関する正しい知識をもち、定期的な検査が必要となるのです。


隠れ脳卒中


「隠れ脳卒中」でありませんか?

「隠れ脳卒中」とは、とても小さな血管の破れや詰まりのことです。そのため自覚症状がほとんどありません。実は私たちのなかにも「隠れ脳卒中」ともいえる人たちがたくさんいます。自分は大丈夫と思っていても、検査を受けると小さな梗塞(こうそく)がある人は意外と多いのです。隠れ脳卒中はどんどん梗塞(こうそく)の数が増え、脳のあちこちに多くみられるようになり、ついには本格的な脳卒中となります。次に挙げるものは、すべて脳卒中を引き起こしうるリスクとなっています。

高血圧


脳卒中の最大のリスクです。男女とも血圧値が高くなるほど、発症率が急激に高くなっています。血圧値と脳出血発症率との関係はさらに密接になってきます。


糖尿病


糖尿病の人は健康な人よりも脳卒中の発症率が高いこともわかっています。糖尿病は動脈硬化の原因の一つであり、また血液が細くし、詰まりやすくなるからです。

高脂血症


コレステロール、特に悪玉といわれるLDLコレステロールの高い人、善玉といわれるHDLコレステロールの低い人は、動脈硬化を起こしやすく、脳梗塞のリスクにもなります。


心疾患(不整脈など)


心疾患、特に不整脈の一種である心房細動を持っている人は、心臓内で血が固まりやすく、これが心原性脳塞栓症の原因となります。65歳以上の高齢者の5~10%が心房細動を持っています。心房細動は、ほとんど自覚症状がないので、放置されていることも少なくありません。

生活習慣、その他


病気ではありませんが、肥満、運動不足、喫煙、多量飲酒(1日1合以上)、過労・ストレスの蓄積といった生活習慣の問題は、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などを引き起こし、また脱水や不整脈なども誘発します。このほか、遺伝的な体質、加齢なども脳卒中のリスクとされています。


脳卒中の兆候


隠れ脳卒中を見逃さないようにする

隠れ脳卒中は、症状がわずかである、ほんの一時的(数分から数十分)であるなど、すぐに戻ることが特徴です。24時間以内に完全回復するものを「一過性脳虚血発作」と呼びます。血管閉塞が短時間なので「一過性」とされていますが、血管の病変はそのまま残っていることがほとんどです。再び本物のもっとひどい発作を起こし、重い障害のリスクが高くなります。重要なのは前兆を見逃さないことです。兆候があらわれたときはすぐに医療機関に受診しましょう。

主な脳卒中の兆候


片方の手足がしびれる


急に手足から力が抜ける


片足を引きずっているといわれる


 


ものにつまずきやすい


フラフラしてまっすぐ歩きにくい


片方の目にカーテンがかかったように、一時的にものが見えなくなる


 


急に目まいがするようになった


ものが二重に見える


思うように言葉が出てこない、理解できない