”もやもや病”って知っていますか?
先日、金沢大学病院に紹介した患者さんが手術を終えて無事退院し、インフルエンザの予防接種に来られました。
この患者さんは、8月に一時的な症状(右手の脱力、言葉が出にくい)で受診されました。脳MRIでもやもや病を認め、すぐに金沢大学脳神経外科に紹介しました。
もやもや病とは脳の血管に生じる病気です。内頚動脈という太い脳血管の終末部が細くなり、脳の血液不足が起こりやすくなります。このため、一時的な手足の麻痺、言語障害を起こします。血流不足を補うために、細い異常血管がたくさん発達して血液を送るようになります。この細いたくさんの血管がもやもやとして見えることから、もやもや病という名前がつきました。
患者さんの数は人口10万人あたり6~10人程度、10歳以下の小児と30~40代の成人に発症することが多く、厚生労働省の指定難病になっています。
もやもや病を根本的に治療する方法はなく、脳血流の不足を治す手術を行います。具体的には頭皮の血管を脳の表面の血管に直接つなげたり(直接血行再建)、頭部の筋肉や血管、脳や頭蓋骨を包んでいる膜などを脳表に接着させ、自然に血流が入るのを期待するものがあります(間接血行再建)。手術により脳の血流不足がなくなると、脳梗塞を起こさないだけでなく、もやもや血管もその役目を終えてなくなっていくので、もやもや血管がやぶれて脳出血を起こすことも少なくなります。